根管治療の講演
みなさまゴールデンウィークはどのようにお過ごしでしょうか?
今年は外出ができないため、いろいろな方法でおウチ時間を過ごされていることと思います。
私も家で映画を見たり本を読んだりして過ごしていますが、在宅ワークの一つとして今日はブログを書かせていただきます。
もうだいぶ時間が経ってしまったのですが、当院の高橋淳一先生が以前講演をされた時のお話を書きたいと思います。
高橋淳一先生は九州大学出身で、歯周病専門医の資格をお持ちです。
私の歯科衛生士歴は約15年になりますが、今まで勤めていた歯科医院では、歯周病治療はあまり積極的に行っていませんでした。
歯周病治療の基本は歯石取りなので、衛生士が行うことが多いのですが、今までは重度の歯周病の方に対してはどこまですればいいのか、また本当に全部取れているのかもわからず行っていたのが正直なところです。
しかし、この病院に勤務するようになってからは、毎回歯石取り後にチェックしてもらえるので私も患者さんも安心ですし、また歯石取りだけで治らない患者さんには外科処置でしっかり歯周病を治してくれるとてもいい病院だと感じています。
そんな歯周病治療のエキスパートである淳一先生ですが、先日(もうだいぶ前ですが・・・)根管治療という歯の神経の治療に関する講演をされたのでそのことに関する記事を書きたいと思います。
九州大学同窓会で、九州大学出身の先生方約150人に対して行われた講演です!
(真ん中の金色のネクタイをしているのが、淳一先生で、その隣が九州大学の教授の先生でした!)
根管治療というのは、虫歯が大きくて歯の神経を除去した時に行う歯の根っこの治療です。
治療自体はよくある治療ですので、経験されたことのある方も多いと思いますが、実は歯医者さんによってかなり今後の結果が変わる重要な治療です!
しかし、神経を取ると痛みはないため、患者さんにはいい治療・よくない治療の区別はつかないと思います。
詳しい手技に関しては割愛しますが、いい治療・よくない治療を見分けるポイントは、レントゲンでしっかり説明してくれるかどうかだと思います!
私が以前勤めていた病院では、モニターが1台しかないという事情もありましたが、治療前後にレントゲンを撮っても患者さんに見せて説明しないことがほとんどでした。
当院の先生方は、皆さんレントゲン撮影後はそれを見ながら説明してくれるので、患者さんも安心だと思います!
その中でも淳一先生は、よく治療前後のレントゲンを見比べながら説明されていますが、治療前と結果が全く違うのでいつも驚いています😆
これが治療前のレントゲンです。
右と左に根っこがありますが、右の根っこに白いお薬が全く入っていないため、根の先の骨が溶けて感染を起こしています。
この歯を淳一先生が再治療してお薬を詰めた後のレントゲンです。
なんと根っこが4本ありました。しかも必要以上に根っこを削ることなく、根の先まで緊密にお薬が詰まっています。
これもかなり技術が必要だと思いますが、さらに淳一先生はこういう難しい治療も2〜3回で終わらせてしまいます☺
いつも根管治療の時は補助をつけずに一人で治療されているので、普段どのようなことを考えながら治療しているのか分かりませんでしたが、今回の講演で私たちにもわかるように治療の流れを教えていただけました!
このようにレントゲンで見比べると患者さんにも一目瞭然なので、安心して治療を受けてもらえると思います。
今はコロナで大変な時期ですが、私たちもできるだけの感染予防策を講じて診療を行っています。
皆さんもお体に気をつけてお過ごし下さい。
痛くない治療
あなたは歯科治療中に居眠りをしたことがありますか?
「ない!」という方がほとんどなのではないでしょうか。
時々そういったお話を患者さんとすることがありますが、怖くて寝るなんて考えられない!という方もいらっしゃいます。
そういう方は大抵治療中も目を開けっぱなしのことが多いのではないでしょうか?
これもお話すると驚かれますが、歯科治療中に目を開けている方と、閉じている方は、大体半々くらいです。
治療に恐怖心を持たれている方や、好奇心旺盛なお子さんなどは大抵開けたままです。
しかし、そういった方でも意外と痛くないことが分かってくると、だんだんと目を閉じるようになってきます。
最近では、虫歯があまりにも大きくて夜眠れないほど痛みの出た男の子の治療をしましたが、1回目は泣き叫んで口の中を触ることも困難でした。
しかし、2回目はおとなしく口を開けてくれ、3回目は治療中いびきをかいて寝ていました笑
痛くないように麻酔をして、治療中も不快にならないように処置をし、治療後は痛みがなくなっている・・・ということを当たり前にしていると、こういうことが起こるので少し嬉しくなります。
また、当院で専門的な歯周病治療をしていることがだんだん浸透してきましたので、最近歯周外科手術を選択される方が増えてきました。
通常の歯周病治療(歯石取りなど)で完治しない患者さんに、歯茎を切ったりして歯周病を完治させる処置です。
こちらは歯周病専門医ですので、今まで何百回とした処置であり、普通の虫歯治療を行うのと同じような感覚ですが、やはり初めての患者さんからするとなんとなく怖そうなイメージを持たれます。
しかし、実際処置が始まると麻酔をして痛くない状態で進めるため、思っていたほどではなかったと言われることがほとんどですし、治療後もお出しした痛み止めが飲まずに余ることが多いです。
また、先日いつもアシストについてくれる衛生士さんから「先生、今月4回中3回目ですね」と言われ、「何が?」と聞くと、「手術中に寝ていた患者さんです」と言われました。
もちろん笑気などの意識が朦朧とするような特殊な麻酔をしているわけではなく、通常の局所麻酔のみで行なっています。
最初は怖いイメージを持たれる歯周外科手術ですが、歯周病専門医がきちんと丁寧に行えば何も怖いことはありません。
もちろん全身疾患により手術できない方、したくない方に対しては、定期的な歯石取りを行うことで悪化しないように管理していきます。
しかし、すでに重度に歯周病が進行してしまっている場合は、歯周外科手術をしないと完治させることは難しいです。
そのような場合でも、安心して治療を受けていただけるようこれからも日々の診療に取り組んで参ります。
インプラントコース②
今月も天神の築山歯科医院にてインプラントコースを受講してきました!
相変わらずPaul Smithの上というおしゃれな立地です笑
今回はインプラント埋入時にコンピューターによるシュミレーションを行い、より正確な位置にインプラントを埋入する方法を学びました!
当院にもあるCT撮影後、パソコン上でシュミレーションを行い、そのデータを3Dプリントで模型上に再現し、より正確な位置にインプラントを埋入する方法です!
今までもこのようなシステムは導入していましたが、さらに技術が進化し、より低侵襲で患者さんの負担も少なくなる方法を学ぶことができましたので、早速改善していきたいと思います😄
インプラント治療に関してさらに追記すると、インプラントの正確性は歯科医師の技術力に左右されるところが大きく、そのためごく稀にではありますが事故が起こるケースも報告されていました。
そういう悪い噂が広まって、インプラントは怖いのでしたくないという方がいらっしゃいますが、本来きちんと診査・診断を行い、治療を行えば、失敗することはまずありません。
しかし、知識や技術不足の歯科医師が、歯周病治療を行わないままインプラント治療をしたりすると、早期にインプラントが脱落して失敗することになってしまいます。(インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、歯周病で周りの骨がなくなることはあり得ます)
そのため、アメリカではインプラント治療は歯周病専門医が行うことが常識で、まずはご自分の歯の歯周病治療をしっかりと行なってからインプラント治療に進みます。
しかし、日本では残念ながら歯科医師であれば誰でもインプラント治療を行なっているのが現状で、数年前に聞いた話ではありますが、研修医がインプラント埋入を行なっていることもあるそうです。
そういった知識や技術も不足している歯科医師が、歯周病治療も十分に行わずにインプラント治療を行うと、やはり早期に脱落したり、事故に繋がったりしてしまいます。
当院では、福岡市西区で唯一の歯周病専門医がしっかりと歯周病治療を行い、患者さんとよく相談した上で、必要な場合のみインプラント治療を行なっておりますので、そういった心配はありません!
また、そういった取り組みが認められ、インプラントの保証会社からの認定も受けておりますので、当院のインプラントは全て10年間の保証をつけることが可能になっております。
もちろんインプラント治療後の管理も、歯周病専門医がしっかりと行いますので、普通の歯科医院で行うよりもより厳密なメンテナンスを行うことが可能です。
歯を抜くことになってしまったが、入れ歯にはしたくない・・・という方はインプラントが選択肢に入ってくると思います。
相談だけでも受け付けておりますので、お悩みの方はお気軽にご連絡ください!
(そもそも本当にその歯を抜かないといけないのか?といったところからお答えいたします)
にしおか歯科医院 092-807-3748
壊死性潰瘍性歯周炎
一言で歯周病といっても、学術的には様々な種類の歯周病があります。
そのうち多くの方が罹患する歯周病は「慢性歯周炎」と呼ばれる歯周病です。
慢性歯周炎の特徴としては、痛みがなく数年〜十数年かけて徐々に進行し、痛みや歯の動揺などの症状が出たときは骨が溶けるなどかなり歯周病が進行しているケースがほとんどです。
そうなる前に、痛みなどの症状がなくても定期的に来院していただき、歯石取りをしていただきたいのですが、ごく稀に「壊死性潰瘍性歯周炎」と呼ばれる歯周病を発症する方がいらっしゃいます。
この歯周病は歯肉の壊死と潰瘍形成を特徴とする疾患で、歯肉の出血や疼痛、発熱、リンパ節の腫脹、悪臭などを伴います。
発症原因として、不良な口腔衛生状態、ストレス、喫煙、免疫不全などが考えられます。
また、HIV感染患者の口腔内所見として見られることもある疾患です。
通常の「慢性歯周炎」の方は歯磨きして出血をすることはあっても、痛くて磨けないことはほとんどありません。
一方「壊死性潰瘍性歯周炎」を発症した方は歯ブラシが歯茎に当たると痛く、歯磨きすることも困難になってしまいます。
そのため、「2〜3日前から歯磨きができないほど歯茎全体が痛いです」といって来院されます。
ここで注意しなければならないのが、「壊死性潰瘍性歯周炎」は通常の「慢性歯周炎」とは歯周病菌の種類が違うということです。
一般の歯医者さんに行くと、おそらく通常の抗生物質を処方されますが、「壊死性潰瘍性歯周炎」は歯周病菌の種類が違うため、効果が薄くなってしまいます。
しかし当院は歯周病専門医が常勤しておりますので、このようなごく稀に起こる「壊死性潰瘍性歯周炎」にも効果のある抗生物質を直ちに処方することができます。
3日間歯磨きができず、来院された際も痛くて歯石取りができなかったため、薬の処方のみ行なった患者さんです。
薬を飲んでいただいただけですが、初診から3日後の来院時には痛みは完全になくなっていました。
この「壊死性潰瘍性歯周炎」は約10年間歯周病治療に携わってきた私でも今まで5ケースしか診たことがないごく稀なケースです。
しかし当院ではこのようなごく稀な疾患にも迅速に対応できる体制を整えておりますので、歯茎に異常を感じられた際はご連絡ください。
効率的で効果の高い根管治療
今回は根管治療のお話です。
根管治療とは、虫歯が大きくて歯の神経まで到達してしまった場合に行う、歯の神経の治療です。
日常的に行われている治療なので、経験がある方も多いと思います。
しかし、保険点数が低く設定されていることや、神経を取れば痛みがなくなり患者さんには分からないため、あまりしっかり治療されることが少ないのが残念ながら今の日本の歯科医療の現状です。
ただし、この治療をしっかり行っていないと、数年後腫れてきたりして再治療が必要になってしまいます。
そのため、当院ではこの根管治療も手を抜かずしっかりと行っています。
根管治療を成功させるポイントは、①機械的拡大②根管洗浄③根管貼薬④根管充填の4ステップです。
①機能的拡大
歯の中は目で直接見ることはできないため、このような機械を使い、今どこまで器具が到達しているかを確認しながら治療を進めます。
また、今まで使用していた神経を取る通常のステンレスファイルに加えて、最新のニッケルチタンファイルを使用しています。 ニッケルチタンファイルは超弾性を有するため、根管形態を維持した理想的な根管拡大形成を可能とします。
これは治療前のレントゲンですが、根の途中までしか白いお薬が入っていないため、根の先に感染を起こしています。 このような場合でも、上記の器具を使って治療を行うことで、根の先まで正確に治療を行うことが可能になります。
②根管洗浄③根管貼薬
根管治療は、根の中の細菌数を減らすことが目的なのですが、先ほどの機械的拡大だけだと、半分程度しか減らすことはできません。そこで、治療時に行うのが根管洗浄と根管貼薬です。
歯の根の中は複雑な形態をしているため、最新のニッケルチタンファイルを用いても全ての汚れを除去することはできません。そのため次亜塩素酸ナトリウムを用いて隅々まで洗浄を行い、100%の水酸化カルシウムを純水で溶かして使用することで発生するOH-イオンの高pHによる殺菌力を用いて徹底的に根管内の除菌を行います。
そうすることによって、広範囲に感染を起こした歯でも治癒させることができます。
④根管充填
また、いくら根の中を綺麗にしても、最終的なお薬が根の先まで入っていないと、悪化する可能性があります。
そのため、特殊な機材を用いてこのように根の先まで緊密にお薬を詰めていきます。
以上のようなことを考えながら治療を行うことで良好な結果を得られます。最後に他院で神経の処置を行い、数年は症状がなかったのですが、最近何もしなくても痛くなってきた患者さんのレントゲン写真です。
1本の歯に右と左2本の根っこがありますが、右の根っこが治療されていなかったため、感染が起きています。
被せ物を外し、神経の穴を探ったところ、右に2本左に2本の計4本ありましたので、それを綺麗に清掃し、最終的なお薬を詰めました。
根管治療は毎日何度も行う基本的な治療ですが、手を抜こうと思えばいくらでも手が抜けてしまう治療です。
しかし、こういった目立たない基本的な治療を手を抜かずにしっかりと行うことが重要だと考えています。
これからも一人一人、一本の歯を丁寧に治療していくことを心がけて診療を行いたいと思います。